この記事ではマミートラックについて実体験も含めてまとめています。
みなさんはマミートラックってご存知でしょうか?
ワーママが出世コースから外れ、同じところをぐるぐる走っているようだ、ということからマミートラックと名付けられました。
マミートラックと調べると「わがまま」という言葉が出てきます。
「育児も仕事も頑張りたいのに・・」
「むしろもうマミートラックがいいけど、それもわがままなの?」
私は2児を育てる医師です。
マミートラックを避けたいと思っていた私が、いつの間にか見事にマミートラックを走っていて、もうこのままでいいか・・と思う自分もいて、本当に悩んでいます。
働くママは悩みが尽きない!
実体験も書いているので、是非最後までお読みください。
マミートラックとは
マミートラックとは、子供を持った母親が復職したときに、子育てや家庭と両立するための働き方を選ぶことで、自分の意思に反して勤務内容が変わり、出世コースから外れることです。
勤続年数11年以上の男女を比較すると「一般従業員」18.2%に対し、女性は62.2%
子供のいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究
つまり、11年以上働いて、男性は出世しているのに女性は62%の人がそのまま。
悲しくなるな・・
マミートラックには約4〜5割の人がいると感じているそう。
「難易度や責任の度合いが低く、キャリアの展望もない」=「マミートラック」に該当する女性の割合は、全体で46.6%、総合職で約4割
子供のいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究
マミートラックがわがままと言われる理由は何か。
まずはマミートラックの問題点を考えてみましょう。
- マミートラックを望む人も望まない人もいる
- 会社や上司の善意によるマミートラックもある(多い)
- 同僚からはよく思われていない
- マミートラックでワーママの意欲が低下する
- 一度マミートラックに入ると脱出できない
このうち何点かさらに詳しく分解!
マミートラックを望む人も望まない人もいてわがままに見える
マミートラックを望む人、望まない人どちらもいるんですよね。
マミートラックには悪い面だけではないから。
「出世はできない」けれど「責任ある仕事がない」とも言えます。
責任がないので、子供の都合で休んだり早退しても気が楽。
あえて、マミートラックに身を置いて、子育てを頑張るという人もいます。
しかし、逆に働き続けるなら「出世をしたい」という人もいます。
少し古いデータ(2015年)ではありますが、ワーママの2人に1人は管理職になりたいと思っています。
「管理職になりたいと思いますか?」と伺うと、49%の方が「なりたい」と回答。
『エン転職WOMAN』ワーママの就業意識調査
出世をしたいと考える人はマミートラックには入りたくないのです。
結局、マミートラックに入っても入らなくてもわがままと言われる運命・・
ワーママと1括りにせず、
1人1人と向き合う必要がありますね。
ワーママはマミートラックに入ると意欲が低下する
実は、女性の仕事への意欲は出産後よりもマミートラックに入った後に下がることがわかっています。
復職して、周りから「働けない人」「時短勤務は昇格できない」といった扱いを受けて、意欲低下していきます。
意欲が下がった方のポイントが顕著に高かったのは、「周囲からの評価」(意欲が下がった方:46%、上がった方:35%)、「職場の人間関係」(同:42%、32%)、「会社からの期待」(同:35%、23%)です。
『エン転職WOMAN』ワーママの就業意識調査
マミートラックに入って納得がいっていない人の50%が「キャリアの展望がない」からだと答えています。
子供のいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究2022年
頑張ろうと思っていたけど、「時短=昇格できない」。
保育園の時間があるから、時短を止めることはできない。
じゃぁ、昇格できない事を受け入れて、昇格を目指さず働いていく事を考え、意欲が低下。
ワーママにも会社にも損失じゃないかしら。
マミートラックを避けたいと思うのはわがまま?
マミートラックを避けたいと思うのはわがままなんでしょうか?
この悩みは仕事も育児も頑張りたいワーママから出る悩みでしょう。
- 仕事をセーブするのが普通と思われている
- 仕事をしたいが、出産前と同じようには働けない
- 出産をすると選んだんだから、評価されないのは当たり前
マミートラックに入るのが普通で避けたいのはわがまま?
わがままと思われる1つ目の理由。
マミートラックに入る人が多いから。
マミートラックに入って、納得・受け入れている人は74%
子供のいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究2022年
出産後、育児の時間を取るため勤務時間を減らし、内容を簡単なものに変更する人が多いから。
望んでいなくても、それを受け入れる人が多いから。
思った以上に受け入れている人が多いわね。
その中で、「マミートラックを避けたい!」というと目立ちますよね。
出産前と同じはできないからマミートラックを避けたいのはわがまま?
「マミートラックを避けたい」といっても、出産前のように夜まで残業はできない。
働く時間が短くなったのに、出世を望む・マミートラックを避けたい、というのは同僚にわがままと思われるのかもしれません。
育児も仕事も頑張りたいと思うワーママ。
それを「わがまま」という社会。
家のことは他の人に任せて、朝から晩まで働く日本の古来からのスタイルが染み付いていますね。
もし、マミートラックを避けたいワーママが出世できたなら、限られた時間で集中して仕事に取り組み、出世するだけの業績を出したからです。
出産は自分の選択。マミートラックは当たり前?
同じワーママで望まずマミートラックに入っている人からは「出産は自分の選択だから仕方ないのだ」と言われ、マミートラックを避けたいというとわがままと言われるかもしれません。
子供を産んだら、出世できないと決められている社会。
少子化が進むわけです。
育児も仕事も頑張りたいと思っている女性には厳しい現実ですね。
マミートラックに入りたいと思うのはわがまま?
逆に、マミートラックに入りたいと思う人もいます。
マミートラックに入ることもわがままと言われることが。
- 同僚がいいと思っていない
- 人手不足(忙しい)のに楽な働き方をしていると思われる
マミートラックに入っても入らなくてもわがまま・・
マミートラックに入ることを同僚がわがままと思っている
同僚がマミートラックを短い勤務時間や楽をしていると考え、わがままと思われる。
これは、放っておくしかない。
人の気持ちは変えられないからです。
ワーママの皆さん、毎日必死ですよね。
パートナーによっては平日は働いて、家ではワンオペで子育て。
でも、人はわかってくれません。
「お先に失礼しますー!」という心苦しさ。
産前バリバリ働いていた人ほど辛いと思います。
マミートラックが人手不足を助長してわがままだと思われる
ただでさえ、人手不足なのにマミートラックの働き方をしたら余計に人手不足。わがままだ、と思われる。
これについても、ワーママの問題ではありません。
本当に人手不足なら、ワーママではなく、人事を決める管理職や会社へ文句を言うべきだから。
【体験談】いつの間にか乗っていたマミートラック
私は2人の子供(未就学児)がいる医師(外科医)です。
働き始めた時は女性でもしっかり働きたいと思っていました。
マミートラックを避けたいと思いながら、1人目出産後復帰。
2人目出産後、しっかり休みをもらったのちに復帰。
2人目の産後、復帰していつの間にかマミートラックに入っていました。
徐々に意欲が低下。
できることもどんどん少なくなって、半分諦めつつ受け入れ始めています。
もう少し、足掻きたい。
働き始め〜妊娠するまで
働き始めは独身でした。
男女の差は無く、働いていました。
毎日夜中まで、泊まりの仕事の次の日も、夜中まで。
そんな働き方が当たり前の世界で、自分自身も普通と思って働いていました。
バリバリ働いて、何の疑問も持ちませんでした。
時短の人もいましたが、特に何も考えていませんでした。嫌とも思わず、その反面、どう働いているかも知りませんでした。
妊娠中はママでもいけるんじゃない?と思っていた
妊娠後、放射線業務や重いものが持てない、など制限ができました。
しかし、時間の制限はなく、思ったよりもできることが多かったです。
当直もできたし、手術もできました。
ママになっても働けるのでは?なんて思ってました。
1人目の出産後はマミートラックは関係ないかもと勘違い
育休1年を待たず、復職。
子供が風邪をひいた時やお迎えの都合で早めに帰ることも出てきました。
しかし、実母に支えられながら、手術も月1-2回は参加。
同僚よりも少し仕事量は少ないものの、大きく変わりなく働いていました。
モデルケースになるぞと意気込んでもいました。
2人目出産後にいつの間にかマミートラックにいた
2人目の産休後、夫の都合もあり、育休+1年休職。
復職後、全然働けない。
1人と2人は全然違う。
風邪を引く回数も、休みが長引く日数も全く違う。
職場の場所やパートナーの職場の状況も変化し、さらに働く時間に制限がかかってきました。
気づけば、手術はしない、外来もしない。
同期はもちろん、後輩と比較しても最前線にはいない状況に。
ついに、役職枠を減らさないといけないと言う病院の都合で「時短だから降格で」と降格になりました。
時短30分だけなんだけどな。
職種が職種だけに、朝7:30に出勤しないと出られない会議、19時から始まる会議が当然のように毎日あります。
他の科のワーママも19時からの会議に出られないと言う理由で昇格を見送られたとか。
現在、意欲は低下。
いつでも休める状況で、責任ある仕事は少ない。
マミートラック爆走中。
マミートラックはわがままではなく1つの働き方
ここからは個人的な見解になりますが、「マミートラックはわがままではなく1つの働き方」となればいいなと思います。
誰もがマミートラックを走れればわがままにならない
マミートラックの働き方、つまり、昇格や出世は遅れるけれど、勤務時間や内容をセーブして働く方法を誰もが選べたらどうでしょう?
今の日本、医療などの忙しい職場はケアレスマンモデルで成り立っています。
ケアレス(Careless)・マン(man)とは、子供や介護などのケアを他の人(多くは妻)に任せてやらない男性・その実情に気づかない(ケアレス)男性を指す言葉です。
だから、ケアレスマン以外は出世から遠のく。
マミートラックの働き方もケアレスマンの働き方も選べれば、わがままにはならないと思いませんか。
そして、勤務時間が限られた人が増えれば、きっとうまく回せるようになります。
マミートラックがわがままと言われないための対策
理想論ではありますが、どうすればマミートラックがわがままと言われないかを考えてみました。
- 誰もが働き方を選べるフレックスタイム制
- 時間ではなく、内容での評価
- プロジェクトごとのチーム編成
- 徹底的な業務内容の共有
- 短時間でも対応できる仕事を明瞭化
年功序列、労働時間での評価、1チームで多数のプロジェクトを抱える形態で成り立っている日本の会社では、マミートラックはわがままと思われがちです。
マミートラックの抜け出し方
マミートラックは一度入ると脱出するのは容易ではありません。
産後復帰したのちにマミートラックに入った人のうち、子供が3歳になった時にマミートラックにいると回答した女性は7割。
子供のいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究2022年
一度受け入れると、もう一度頑張り直す自分のメンタルが必要。
会社としても、時間制限がある中でどう働かせるかを考える必要が出てきます。
実際、どうすれば抜け出せるか。
- 上司への相談
- 勤務時間を伸ばす
- 家事・育児の負担を減らす
- 転職
相談できる、対応してくれる上司がいるなんて幸せ♪
勤務時間を伸ばすには、パートナーがお迎えに行ったり、工夫は必要になるでしょう。
帰宅後の家事は時短して行く必要があるでしょう。
少しずつ、整えていけるといいですね。
マミートラックはわがままなのか検証してみた
マミートラックはわがままなのか、自分の体験を振り返って考えてみました。
現在の日本の社会では、マミートラックはわがままだと思われても仕方ありません。
マミートラックを避けたいと思っても、マミートラックの働き方をしたいと思ってもわがままと思われる社会。今は時代が変化している時期だと、考えています。
きっと、時代が変わって、フレックスタイムがメインになったり、長時間労働が当たり前ではなくなった時に、マミートラックはわがままではなく、選択肢の1つでしか無くなると信じています。
ワーママの皆さん、頑張りましょう!
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